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 ごあいさつ



第48回日本鼻科学会
会長 川内秀之

この度、第48回日本鼻科学会の総会ならびに学術講演会を、島根県松江市島根県民会館において島根大学医学部耳鼻咽喉科学教室で担当させていただくことになりました。

10月初旬という初秋の山陰において、本学会を開催させていただく運びとなり、会員各位の皆様には、心より感謝申し上げます。

 耳鼻咽喉科学における鼻科学の領域は多岐にわたりますが、長い歴史を有する本学会の発展と共に、先輩方が築いてこられた基礎的研究ならびに臨床的検討の結果、鼻科学の重要性が再認識されているのは衆目の一致するところであります。近年の鼻副鼻腔各種疾患に対する外科的治療としての鼻副鼻腔内視鏡手術に関しては、手術手技の進歩のみならずナビゲーションを代表とする手術支援機器の充実が特筆されます。一方、研究面に目を移しますと、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎など炎症性疾患に関する基礎的・臨床的研究も諸外国に勝るとも劣らない質と量において継続されています。さらに、近年の再生医療のトレンドは、嗅覚障害の研究や組織修復の研究において新たな方向性を提示しています。

 新研修医制度の導入以降、耳鼻咽喉科のみならず外科系を目指す医師の減少を問題視するマスコミ報道は枚挙に暇がありませんが、そのような難局にあればこそ、日本全国地域を問わず、鼻科領域でのエキスパートを目指す耳鼻咽喉科医が増えることを望んで止みません。

私どもマンパワーの少ない教室で主催させていただく今回の学会は、身の丈にあったものにしかできませんが、精一杯の努力をさせていただく所存です。
 今回の学会では、昨年の第47回学会(内藤健晴会長)の流れを踏襲して、学術講演会のメインテーマを「これからどうなる、どうする鼻科学 メ取扱いに苦慮する疾患を克服するためにモ」と掲げて準備を進めてきました。皆さまより多くのご演題を頂戴し、一般演題(ビデオを含む)と指定演題で合計184題、国際セッションへの演題を21題(国内13題、韓国7題、シンガポール1題)頂戴しました。合計205題におよぶ演題を頂戴し、すべて口演とさせていただきましたので、時間的に非常にタイトなスケジュールになりました。

会員各位や参加者の皆様には、何卒、ご理解の程お願い申し上げます。

また、第45回の日本鼻科学会より導入された韓国鼻科学会と日本鼻科学会のexchange programを充実すべく、招待講演だけでなく一般演題の国際セッションを準備させていただきましたが、松江市での開催は、ソウル・インチョン空港から米子空港への週3便の定期便の利用でアクセスがよいこともあり、韓国鼻科学会の会員の先生方の多くの参加を期待しております。すでに、英文でのご案内をホームページに掲載させていただいているところです。

特別企画の概要について紹介させていただきますと、招待講演には、海外より4 人の先生をお招きすることになりました。米国からは、Buffalo, New YorkのTimothy F Murphy教授をお招きし、「Clinical Implications of Nasopharyngeal Bacterial Colonization」と題して、インフルエンザ菌の基礎から臨床まで詳細について講演(座長:山中 昇教授)を賜ることになりました。Murphy先生は、世界的に有名な細菌学者でありますが、皆様ご存知の国際シンポジウム「中耳炎」の発展に長年貢献してこられた研究者でもあり、耳鼻咽喉科領域の感染症に造詣の深い先生であります。また、ムチンに関するシンポジウム(国際セッション)においては、Philadelphiaから基調講演を頂戴するKwang Chul Kim教授をお招きしました。先生は気道炎症性疾患の病態形成におけるムチンの役割について長年精力的に研究を続けておられる研究者であります。欧州からは、ベルギーのGhentからClaus Bachert教授をお招きし、初日に開催されるサテライトシンポジウム「アレルギー性鼻炎・難治性副鼻腔炎 −薬物療法の指針と限界−」において、基調講演を賜ります。Claus Bachert先生は、 数多くの研究業績を有する欧州鼻科学会の重要なメンバーであり、日本でも多くの講演をされ、我々にはお馴染みの先生であります。また日韓鼻科学会の交流事業として継続されている韓国からの招待講演には、Pusan National UniversityのHwan-Jung Roh 教授をお招きし、「Inverted Papilloma of Sinonasal Cavity: The Surgical Strategy of Endoscopic Mangement Based on the Site of Attachment」と題して、内反性乳頭腫の手術に関しての詳細を講演していただくことになりました。

また、特別講演として、2題を用意させていただきました。特別講演 1は「美術は人の身体をどう表現してきたか」と題して、名古屋ボストン美術館館長の馬場 駿吉 先生(名古屋市立大学名誉教授)に2日(金)にお話をいただくことになっております。特別講演2は「世界の中の日本 −日本人の真の国際化とは−」と題して、櫻井良子 先生(政治評論家)に3日(土)にお話をいただく予定です。いずれも興味ある話題を提供いただけるものと期待しております。
シンポジウムとして2つのテーマを取り上げ、学会2日目(金)、3日目(土)に各々、シンポジウム1「再生能力を活用した嗅覚障害治療の展開」(司会:三輪高喜先生、丹生健一先生)とシンポジウム 2「The Role of Mucin in Acute or Chronic Sinonasal Inflammation」(司会:清水猛史先生,Chang-Hoon Kim先生)を企画させていただきました。このふたつの領域は、近年研究の発展が大いに期待され、その成果が臨床へ被益することを要求されている研究分野であると言えます。聞きごたえのあるシンポジウムになることを確信しております。

また、学会2日目の2日(金)の一畑ホテルでの会員懇親会の前に、同会場において、サンセットカンファレンス「機能性食品とアレルギー疾患」(司会:荻野敏先生,榎本雅夫先生)を企画し、本領域で活躍されている先生に口演をいただくことになりました。

 学会初日の1日(木)の午後には、従来どおり基礎問題研究会、臨床問題懇話会を企画しております。基礎問題研究会は第45回を迎えますが、「鼻副鼻腔粘膜の病態解明と制御 −TLRを中心に−」と題して、氷見徹夫先生と竹内万彦先生の司会の下、本領域で活躍されている新進気鋭の先生方に最新の研究内容を報告していただく予定です。

 一方、鼻科学臨床問題懇話会は今回で38回を数えますが、「鼻副鼻腔病変の治療 決断の時 −炎症から癌まで−」と題して、原田保先生、鎌田信悦先生の司会の下、4人の口演者に症例検討をお願いし、臨床現場で難渋している症例について、治療指針の道筋を立てていただきたいと考えております。

 当日の夕方には、サテライトシンポジウム「アレルギー性鼻炎・難治性副鼻腔炎 −薬物療法の指針と限界−」を企画し、竹中洋先生と藤枝重治先生の司会の下、Claus Bachert教授に基調講演を頂戴したあと、飯野ゆき子先生、石戸谷淳一先生、De-Yun Wang先生に鼻副鼻腔の難治性炎症性疾患の病態と治療について講演をお願いし、ご参加の先生方とともに、ホットな議論を深めていただく予定です。

 ランチョンセミナーとしては、2日(金)、3日(土)に各々3題を予定しております。ラインアップだけ簡単に紹介しておきますが、2日に[1] 鼻内視鏡手術のpitfall(春名眞一教授)[2] アレルギー患者由来標本を用いたオーダーメイド薬物療法推進の試み(獨協医大薬理学 上川雄一郎教授)[3] 薬剤反応性を規定するものはなにか? −吸入ステロイド薬とロイコトリエン受容体拮抗薬−(慶応大呼吸器内科 浅野浩一郎准教授)、3日に[4] The Craniofacial and Mucosal Immune System(東京大学医科学研究所 清野 宏教授)[5] The Clinical and Educational Application of Navigation System for Endoscopic Sinus Surgery(友田幸一教授)[6] Recent Topics of Antihistamines(東北大学機能薬理学 谷内一彦教授)をそれぞれ、ご案内させていただきます。

 さらに、ご不便をおかけして、島根までご来光いただく会員各位とくに若手の先生のために、2つのモーニングセミナー(2日(金)8:00スタート)を企画しました。企画の内容は、[1] アレルギー性鼻炎の手術療法の現状、[2] アレルギー治療薬の臨床試験の現状と今後の展望のふたつです。
以上、特別企画の内容を中心に紹介させていただきましたが、言うまでもなく、学術講演会の中心は一般演題における発表と白熱した意見交換です。この作業無くして、学会の学術レベルの向上はあり得ません。ご発表の先生方にはコンパクトなわかりやすいご発表を、演題を聴取される先生方には的を得た手厳しい質問や建設的なコメントをしていただきたいと願っております。同時進行のセッションでは、会場が6会場に分かれるため、ご不便をおかけすると思いますが、よろしくお願い致します。
10月の山陰は天候に恵まれる時期でもあり、秋の宍道湖のサンセットは一年で最も美しいと言われており、初日(1日)の夕べは湖岸にてのwelcome partyも企画しております。

 今年から秋のゴールデンウィークも導入され、9月末の連休を受けて、翌週の学会会期となりました。また、昨年秋から今春までNHK放送で朝の連続ドラマ「だんだん」が放送されたこともあり、例年にも増して観光客が訪れる時期でもあります。ご参加の先生方には、ぜひとも、早めの交通・宿泊のご予約をしていただきますよう、お願い申し上げます。
コンベンション発祥の地(神在月)を自負する出雲大社を戴く当地におきましては、出雲の八百万の神々に祈願して、全国の耳鼻咽喉科医の神々のご来光を歓迎いたします。会期中の学会活動はもちろんですが、日頃の疲れを癒すためにも、少々散策などしていただければ幸いに存じます。

 山海の豊富な食材や、地酒、暖かい温泉(松江宍道湖温泉、玉造温泉など)、さらに世界遺産となった石見銀山、松江城・堀川めぐり、足立美術館などの観光スポットも皆様をお待ちしておりますので、ぜひとも島根の地へお揃いでお運びくださいますよう、心よりお願い申し上げます。

擱筆
2009年8月吉日






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